テレビたたき売り 2012 2 18

2012年2月17日の日本経済新聞Web刊には、このような記事があります。
「薄型テレビ一段安、40型3万円台 5年で4分の1」
 薄型テレビの値下げが家電量販店で一段と進んでいる。
東京都心の一部店舗では40型の大画面で実質価格3万円台の機種が登場。
 画面サイズ1インチ当たりで初めて1000円を切り、
5年前の4分の1まで下落した。
 昨年7月の地上デジタル放送への移行後、
需要は想定以上に落ち込み、全国でも1月の平均単価が過去最安値を更新した。
 調査会社BCNによると、
1月の全国の平均単価は4万3800円(税抜き)で前年同月比31%安。
 とりわけ価格の低下が著しいのは集客の目玉になる32型と40型。
下落率はともに4割前後にのぼる。
(以上、引用)
 このような状況になっても、
政治家たちは、政争つまり政局で忙しい。
庶民と同じ発想で「テレビが安く買える。うれしい」というものでしょうか。
 しかし、状況は、厳しいものがあります。
これでは、テレビは、「いくら作っても赤字」という事業になってしまいます。
 国内の工場は閉鎖され、テレビ生産は、
海外のEMS企業(電子機器の受託生産企業)に
生産委託という事態もあり得るでしょう。
 私は、「テレビ敗戦、新たな出発 2012 2 5」という文章を書いた時、
「ひょっとして、テレビ生産は、日本から消えるのではないか」と思いました。
いつの日にか、「日本製のテレビ、生産終了へ」という記事が新聞に載るかもしれません。
 テレビ事業は、自動車とともに、日本の高度成長を象徴する事業でした。
しかし、今後、テレビ事業は、国内産業の空洞化を象徴する事業になるかもしれません。
 それでも、政治家たちは、政争で忙しく・・・・・。
しかし、今の政治家は、経済に明るい人は少ないので、
結局、政争に明け暮れるか、官僚の操り人形になるか、どちらかになるかもしれません。
 今の政界は、「経済音痴」が主流で、
経済に詳しい政治家は絶滅危惧種、いや、すでに絶滅しているのか。
 このような政治家たちに、巨額の歳費(給料)を払い続ける納税者たちは、
寛大であると言えるでしょう。
官僚主導の方が、まだ、ましだったかもしれません。

テレビ敗戦、新たな出発 2012 2 5

書名 電機・最終戦争 生き残りへの選択
著者 日本経済新聞社 編集  日本経済新聞出版社

 2011年は、「テレビ敗戦の年」として記憶されるという。
確かに、日本の電機メーカーは、軒並み巨額の赤字を計上しました。
その原因は、テレビにあります。
「作っても作っても赤字」というのが、テレビ事業だったかもしれません。
 このような状況を見て、野口悠紀雄氏は、
「週刊東洋経済2012.1.21」で、このように評論します。
 パナソニックもシャープも、韓国のサムスンを意識していた。
しかし、サムスンは、量的に拡大しているだけだ。
実際、テレビ事業は、赤字である。
 日本のメーカーは、サムスンに負けたのではない。
EMS企業(電子機器の受託生産企業)に負けたのだ。
 重要なのは、液晶テレビの生産モデルが、
巨大EMSの成長で本質的に変わったことである。
 それにもかかわらず、垂直統合モデルを維持し、
量でサムスンと競ったことが、基本的な誤りである。
 サムスン電子の液晶パネル部門は、
ウォン安にもかかわらず、利益が出ていないと指摘しています。
 さて、今、全盛を極めているアップルも、
負けた時代があったのです。
アップルは、パソコンメーカーとして成功していた時代があるのです。
 しかし、ウィンドウズ95の登場で情勢が変わったのです。
アップルは、パソコンの大衆化に乗り遅れてしまったのです。
同時に、これは、マイクロソフト・インテル帝国の船出を意味していました。
しかし、この帝国にも、スマートフォンの出現で、陰りが見えています。
 私は、こう言いましょう。
負けることは、いいことだ。
新たな出発ができるからだ。
勝ち続けていれば、今のやり方を変えることができない。
 しかし、時代は、変わっていく。
そして、消費者も、いつの間にか変わっていく。
 かつて、地球では、恐竜全盛の時代がありました。
温暖な気候と豊富な食糧によって、
恐竜は、どんどん体を巨大化させ、地上の王者となりました。
 しかし、地球が寒冷化していくと、食糧が不足し、
恐竜は、地上から姿を消していったのです。
 恐竜に「地球が寒冷化したから、変わりなさい」と言っても、
それは、無理な話だったでしょう。
 しかし、企業は変わることができるのです。
環境の変化に応じて、企業は、変わることができるはずです。

















































































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